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リテールメディアの注目事例5選!しくみやメリットも紹介

リテールメディアの注目事例5選!しくみやメリットも紹介

  • 2023/11/14
  • 2024/04/03
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現在、巷では「リテールメディア」という言葉の注目度が上がってきています。このコラムをご覧になっている方も、実際に耳にする機会が増えたのではないでしょうか。

リテールメディアは小売企業を主体とした新たなメディア概念であり、新たな収益経路の1つとして非常に注目されています。

本コラムではそんなリテールメディアについて、基本情報からメリット、事例、活用方法まで一気にご紹介します。

「まずはリテールメディアについて詳しく知りたい」
「企業はリテールメディアをどのように活用しているのか気になる」
「できればリテールメディアを自社製品の集客に活用したい」

といった方はぜひ参考にしてみてください。

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リテールメディアとは

リテールメディアとは、小売事業者が外部向けに提供する広告媒体のことを指します。

具体的には、小売事業者が運営しているECサイトやアプリ、店舗内のサイネージなどが挙げられます。小売事業者はそれらを「広告枠」の1つとして外部に提供し、広告収入を得ることができます。

リテールメディアのしくみ図

店舗やECサイト上で得られた購入情報や検索情報などの顧客データを活用し、顧客の属性や趣味嗜好に合わせた広告を配信することで、精度の高いマーケティングが可能となります。

小売事業者はこれまでの商品販売の収益に加え、新たに広告収益も獲得できるため、より安定した収益基盤を構築できます。

リテールメディアが注目されている理由

ではなぜ、リテールメディアに対する注目度が上がってきているのでしょうか。
リテールメディアが注目される理由は主に下記の2つです。

  • プライバシー保護強化
  • コロナ禍による購買スタイルの変化

詳しく見ていきましょう。

プライバシー保護強化

デジタルマーケティングの領域においては、近年個人情報漏洩などのデータ侵害に関する問題が増加したことを受け、顧客の個人情報に対する管理意識が世界的に高まっています。

例えばAppleは2017年9月にトラッキング防止機能であるITP(Intelligent Tracking Prevention)を公式ブラウザのSafari 11にリリースしたことを皮切りに、段階的に制限を強化し、現在はすべての3rd Party Cookieがブロックされる仕様となりました。

3rd Party Cookieとは、ユーザーが訪問したサイト内の行動や趣味嗜好を第三者が追跡できるWEB上の足跡のようなもので、これまで3rd Party Cookieのユーザー情報を利用してWEB広告を実施していた企業は、広告配信や効果計測が困難となったのです。

3rd Party Cookie廃止の動きは、Chromeなどの他ブラウザでも同様に拡大しており、今後は1st Party、つまり自社企業が取得している顧客データを活用した広告・マーケティング施策に注目が集まっています

その点、リテールメディアは小売企業が収集した1st Partyの顧客データを活用できます。
従来よりも高精度な顧客情報が取得でき、かつ直接アプローチすることも可能であることが支持され、リテールメディア市場拡大の一因を担っています。

2022年4月に改正個人情報保護法が施行されるなど、日本国内においてもプライバシー保護強化の動きがすでに始まっており、リテールメディアは現代に則した広告のあり方とも言えます。

※顧客データ利用に際し、電気通信事業法その他の法令等への対応が別途必要となる場合があります。

コロナ禍による購買スタイルの変化

コロナ禍による購買行動のオンライン化も、リテールメディアの存在感を強めています。

下記の図は、総務省の調査による、ネットショッピング利用世帯の割合の推移(2人以上の世帯)です。

総務省の調査による、ネットショッピング利用世帯の割合の推移(二人以上の世帯)

出典元:総務省統計局『2021 年 家計消費状況調査 結果の概況』(参照 2023-11-01)

ネットショッピングを利用する2人以上の世帯割合は年々増加し、2021年には2002年の調査開始以来、初めて50%を超えたという結果が出ています。

こうした側面から、企業のマーケティングにおいてもWEB上の顧客情報を活用した販売戦略が重視されており、それらを活用したリテールメディアが注目されています。

私たちの日常生活では、ポイントカードや会員専用アプリなどを使用する機会が多いですが、それらはポイントによる値引きといった単純なユーザーメリットだけでなく、マーケティングにも活用されています。そのデータ自体を直接広告に活用できることが、リテールメディアの大きな特徴です。

リテールメディアの市場規模

株式会社CARTA HOLDINGSの調査によれば、リテールメディアの広告市場は年々増加し、2023年には245億円、さらに2026年には805億円に達する見込みと言われています。

リテールメディア広告市場規模推計

大手小売企業ではDX化への取り組みが発展し、リテールメディア事業による新たな収益基盤の構築、および開発が進んでいます。また、先述のプライバシー保護強化の観点により、広告プラットフォームを提供する企業からもリテールメディア事業を支援する動きが強くなっていることも背景にあります。

リテールメディアによる広告事業はデータとして活用できるだけの情報量が必要となるため、現在実施しているのは一部の小売企業に限られますが、今後さらに展開企業が増えれば新たな広告手段として有用な存在となるでしょう。

リテールメディアは生活にどう影響する?

では、リテールメディアが実際にどのような形で生活に影響しているのかというと、実はすでに私たちの生活にも溶け込んでいます。

例えば、スーパーやコンビニに並んだ際、レジ付近にモニターが設置されていて、メーカー商品のCMが流れているのを見たことはないでしょうか。

これはデジタルサイネージと呼ばれるもので、従来のポスターなどと異なり(音声+動画)での訴求ができるため視認性が高く、多くの消費者に訴求できます。時間や天候などの状況に合わせて配信内容を変更できるほか、最近ではモニターや店内に設置されたAIカメラとの連携によって、興味を持ったユーザー属性や購入数の測定も可能となっています。

上記は代表的な例ですが、このようにリテールメディアはより消費者に自然な形で商品をPRできるため、スムーズな購入に繋がりやすくなります。

各視点から見たリテールメディアのメリット

リテールメディアの活用メリットは媒体である小売企業、そして広告主、消費者それぞれにメリットがあります。
詳しく見ていきましょう。

小売企業:広告収益が得られる

ここでいう小売企業とは店舗やECサイト、アプリといった販売環境を備えている企業を指します。小売企業がリテールメディアを行うメリットは、これまで商品販売でのみ得られていた収益に加え、新たに広告媒体としての収益が加わることです。

店舗やECサイトに訪れる消費者、あるいはそのデータが提供価値となることで、販路拡大や売上増加に繋がります。また、広告商品をきっかけとして通常商品との抱き合わせ購入、あるいはついで買いとして広告商品が購入されれば、客単価アップも期待できます。

場合によっては広告商品と連携しクーポン付与やキャンペーンを行うことで、来店数や利用率を増加できる可能性もあります。組み合わせ次第でさまざまな効果を引き出せるでしょう。

広告主:顧客データをマーケティングに活用できる

広告主、つまりリテールメディアに広告出稿する企業は、小売企業が保持している顧客データを活かすことで、より精度の高いマーケティングができます。

Google広告やFacebookをはじめとしたSNS広告など、ターゲティングができる広告は多様にあります。しかしリテールメディアは、店舗やECサイトといった直接購入アクションと結びついているプラットフォーム上に広告を出稿することで、より購入意欲の高い消費者に対して親和性の高いアピールができます。

また仮に購入されなかったとしても、商品の認知拡大やブランディングにも繋がるため、幅広いマーケティング効果が期待できます。

消費者:興味関心に沿った情報が届く

消費者は自身と関連性が低い、または興味がない内容の広告に対しては不快感を覚えます。そのため、広告を打つ場合はその配信先・内容・タイミングが非常に重要です。

リテールメディアは顧客データに基づく広告配信となるため、消費者は興味関心が高い広告を最適なタイミングで情報を受け取れます。適切なアピールで商品購入に繋がれば、満足度も高まるでしょう。

薬機法や景品表示法の改正など、近年では消費者にとって健全な形で広告が届くための環境整備が進んでいます。そうした中で消費者にスムーズな購入体験が提供できるリテールメディアの存在は、非常に価値の高い広告媒体と言えるでしょう。

リテールメディアの活用事例5選

続いてリテールメディアが効果を上げた活用事例を5つご紹介します。

活用事例①:Amazon

リテールメディアの概念は、日本国内ではまだまだ認知度が低い一方で、海外では急速に広がりを見せています。

海外リテールメディアの代表例として外せないのが、Amazonです。AmazonはGoogleやFacebookといった大手広告プラットフォームの成長が鈍化する中、2019年から右肩上がりでデジタル広告市場のシェアを拡大しています。

米国におけるデジタル広告市場シェア

Amazonは商品検索時に表示される「スポンサー」という広告枠を販売しています。(商品を検索している=その商品を欲している)という状態であるため、検索キーワードに関連する商品を広告出稿することで、親和性の高い広告を届けることができます。

また、Amazonは顧客の行動データの分析機能を開発し、消費者の購買傾向に沿った商品提案ができる環境を整えています。

上記の仕組みを、その膨大な会員データと組み合わせていると考えれば、近年におけるAmazonのシェア拡大もうなずけます。「商品検索」という購入アクションに直結した流れに広告が出せることも大きな要素です。

出典元:Insider Intelligence Trends『Amazon has a larger advertising business than YouTube』(参照 2023-11-01)

活用事例②:Walmart

海外リテールメディアの事例としては、世界最大級のスーパーマーケットチェーンWalmart(ウォルマート)も有名です。

ウォルマートキャプチャ画像

ウォルマートもAmazonと同様に自社ECサイト内に広告枠を販売しているほか、店舗や決済端末のディスプレイもサイネージ広告として活用しています。オンラインとオフラインを跨いだ顧客データの活用は、スーパーマーケットの枠組みを超えて成長する一因となっています。

2021年にウォルマートはWalmart Connectというデジタル広告部門を設立し、今後もリテールメディアの取り組みを強化していく方針です。

引用元:Walmart『Advertising Solutions | Walmart Connect』(参照 2023-11-01)

活用事例③:ファミリーマート

FamilyMartVisionキャプチャ画像

国内のリテールメディアで有名な事例としては、ファミリーマートが挙げられます。

ファミリーマートは全国47都道府県の店舗にデジタルサイネージ広告「FamilyMartVision」を設置し、大画面のディスプレイを活用した広告プラットフォームを提供しています。

FamilyMartVisionは42〜65インチの大型スクリーンを3連結したシステムで、高い視認性と幅広いクリエイティブ性を両立しています。また、店舗での実購買データと照合することでオフラインでの広告効果を可視化する点も強みです。

ファミリーマートはFamilyMartVisionを発表した2021年から3年以内を目処に設置可能な全店舗への導入を目指しています。2024年3月には合計10,000店への設置を達成。1週間で約6,400万人のユーザーにリーチできることとなり、今後の動きも注目されています。

引用元:株式会社ゲート・ワン『FamilyMartVision』(参照 2024-04-02)

出典元:株式会社ファミリーマート、伊藤忠商事株式会社『ファミリーマート、伊藤忠商事、店頭を活用したメディア事業に関する新会社設立について』(参照 2023-11-01)

活用事例④:ZOZOTOWN

国内最大級のファッション通販サイトのZOZOTOWNは2018年に広告事業の取り組み強化を発表しました。

ZOZOTOWNはAmazonやウォルマートと同様、サイト内の検索キーワードに沿った広告枠販売を展開していますが、なかでもファッションに特化した顧客データを保持している点が強みです。

ZOZOTOWNの出展ブランド数は現在8,000を超え、膨大な商品数を扱っています。その一方で、商品数が多すぎるために欲しい商品が探せない状況を生んでいました。そこで、出店者向けにサイト内の検索連動型広告をリリースし、商品数に埋もれないシステムを構築しました。

ZOZOTOWNはユーザーの体型を正確に計測する「ZOZOSUIT」や、足のサイズを計測し最適な靴を提案する「ZOZOMAT」など、顧客データを生かした先進的な購買体験を追求しています。これらのデータが広告として生かされれば、ファッション通販の裾野は大きく拡がる可能性があるでしょう。※ZOZOSUITは2022年6月にサービスを終了しています。

引用元:株式会社ZOZO『数字で見るZOZO』(参照 2023-11-01)

出典元:日経クロストレンド『「革命の軍資金に」 ZOZOはどうやって広告で稼ぐのか』(参照 2023-11-01)

活用事例⑤:マツモトキヨシ

大手ドラッグストアチェーンのマツモトキヨシでは、「Matsukiyo Ads(マツキヨアド)」では、マツモトキヨシが主幹となってメーカー製品の広告をGoogle広告に出稿し、購入促進に繋げています。
Matsukiyo Ads(マツキヨアド)しくみ画像

広告を見たユーザーが購入する際、マツモトキヨシのアプリと連携することで広告効果の測定が可能となっています。既存の顧客データに加え、店舗・WEB広告・アプリを複合的に活用した広告は、国内のリテールメディア業界を牽引するモデルとなっています。

リテールメディアに広告を出稿するための4ステップ

ここまで読んでいただいた方の中には、リテールメディアを実際に活用してみたいと考える人もいるでしょう。
では最後にリテールメディアに広告出稿するまでの流れをご紹介します。

出稿ステップ①:ターゲットを選定する

まずはリテールメディアに出稿するために「誰に」広告を出したいのか明確にします。

ターゲット選定を見誤ってしまうと、出稿方法や出稿時間帯などがずれてしまい、広告効果が十分に引き出せない可能性があります。ターゲット選定は最も重要な工程と認識しておきましょう。

ターゲットを見つける方法としては「こういう人をお客さまとして増やしていきたい」「こういう人に価値を提供したい」といった具体的な人物像(=ペルソナ)をイメージするとよいでしょう。会社の企業理念を起点に考えるといったこともおすすめです。

イメージが膨らんできたら、その人物の年齢や職業、家族構成など、さらに細かい要素を定めていきます。誰にでも当てはまるように考えると、結果誰にも刺さらないものになってしまいます。まずは特定のひとりに届くように意識しましょう。

ペルソナの作成方法は「ペルソナをマーケティングに活かすには?メリットと作り方について解説」というコラムで詳しく紹介しています。

出稿ステップ②:配信先のリテールメディアを決め、広告配信する

ターゲットが決まったら、そのターゲット層を多く保有しているリテールメディアを探し、広告配信を行いましょう。

重要なのは①で設定した内容をもとに、ターゲットの取る行動から配信先を選んでいくことです。生活の中でどんなことに悩み、行動し、外の世界と接点を持っているかを考えましょう。お店で購入することが多ければサイネージ広告が有効ですし、WEB上での購入が多ければECサイトやアプリでの広告配信が有効かもしれません。

リテールメディアの選定には「カスタマージャーニーマップ」を作成するのがよいでしょう。カスタマージャーニーマップは、ターゲットの日常生活における商品認知から検討、最終的には購入に至るまでの一連の消費行動のプロセスを可視化する分析方法です。

「ターゲットの購買までの道のりを考える」ことはどんな業態でも理解しておくべき項目です。カスタマージャーニーマップは本コラムの下部から関連資料をダウンロードできますので、気になる方はご確認ください。

出稿ステップ③:配信の効果測定を行う

一定期間の配信を終えたら、効果測定を行います。

リテールメディアは購入アクションと直結した流れに広告配信できるため、ECサイト訪問や来店から実際に購入するまでの効果測定が見えやすい特徴があります。

  • 訪問人数
  • 購入人数
  • 購入率
  • 滞在時間
  • ユーザーの行動データ(閲覧履歴や検索履歴など)

オンラインの場合、目安として上記の項目は確認しておくとよいでしょう。特にユーザーの行動データに関しては、ターゲットの興味関心が垣間見える要素であり、購入に繋がらなかったとしても次の配信のヒントになる可能性があります。もし確認できる場合はチェックしてみましょう。

サイネージ広告などオフライン型の場合、店舗やモニターに設置されたカメラやマイク、センサーを使い、AIがデータを解析するシステムもあります。これまでオフラインで計測が難しかった「商品を買わなかった人のデータ」も可視化され、より精度の高い販売戦略を構築できます。

出稿ステップ④:配信結果をもとに、次のアクションに活かす

配信結果の確認後は、次のアクションへ移ります。

配信内容や配信時間帯、クリエイティブを調整し再度配信を行うこともあれば、別のリテールメディアを検討するのも1つの方法です。重要なのは、「配信によってどんな結果や仮説が得られ、次に何をするか」ということです。

「配信したものの、なぜかうまくいかなかった」といった状況にならないよう、次の打ち手を実行していきましょう。

まとめ

本コラムでは、リテールメディアの基本情報から事例、出稿方法までまとめてご紹介しました。

リテールメディアは日本国内ではあまり浸透していない分、積極的に取り入れれば競合他社より先行してシェアを獲得できる可能性もあります。そして、リテールメディアの広告効果を引き出すには、自社製品のターゲットの解像度を高めておくことが必須です。

ターゲットを明確にする方法には「カスタマージャーニーマップ」を作ることがおすすめです。

「自社製品のターゲットを細かく決めきれていない」
「ターゲットは決まっているけど、なかなか集客できない」

といった方はこの機会に一度見直してみてはいかがでしょうか。

下記の無料お役立ち資料では、カスタマージャーニーマップの具体的な作成手順も紹介しています。ご興味のある方はぜひダウンロードください。

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この記事の執筆者

A8.netマーケティングチーム編集部

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