
サブスクの種類別特徴と事例を解説!
- 2022/12/20
現在、私たちの周りには数え切れないほどのサブスクリプションサービス(サブスク)が溢れています。
どのような種類があるか、あなたはご存知ですか?
このコラムでは新しくサブスクサービスを起業・開発したい担当者の方に向けて、サブスクサービスの特徴、はじめ方をそれぞれ簡単にわかりやすく解説しています。
あらかじめ棲み分けを知っておくことで、サービスの特徴を俯瞰的に捉えることができるようになるので
「サブスクサービスの事業モデルはどのようなものがあるのか知りたい」
「サブスクサービスを起業する場合何が必要なのか分からない」
といった方はぜひご覧ください。
サブスクリプション(サブスク)とは
サブスクとは
サブスクとは(サブスクリプション)の略語で、月額課金、年額課金といった一定期間分の製品やサービス利用に対して、代金を支払うビジネスモデルを指します。
製品やサービスを直接買い切りで購入する通常の形式とは異なるため、ユーザーはより低価格で申込みできたり、気軽に解約ができるといった特徴があり、ユーザーのニーズに沿った柔軟な利用が可能となっています。
日本国内において、サブスクは音楽再生や動画視聴といったサービスを皮切りに多くの人に普及し、今では漫画や家電、ファッションなど様々な業界の垣根を超えて展開しています。付随してサブスクの市場規模も拡大中となっており、株式会社矢野経済研究所の調査によれば2024年度には1兆2,400億円規模まで成長すると言われています。
引用元 : 株式会社矢野経済研究所「サブスクリプションサービス市場に関する調査を実施(2022年) 」, (参照 2022-11-10)
サブスクのメリット
サブスクサービスは企業側にも多くのメリットがあります。主要なものは以下です。
- 初期費用が少なく新規ユーザーが獲得しやすい
- 中長期的に継続した収益を得られる
- 業界や業種を問わず参入しやすい
特に新規サービスをリリースした場合、最初の関門になるのが新規ユーザーの獲得です。
例えば取り扱う商材が高額な場合、購入より低価格なサブスクの形態を取ることでユーザー獲得のハードルを下げることができます。サブスクはどの業種でも参入検討が可能でコストも押さえやすいため、スタートアップ企業などでも取り入れやすいビジネスモデルといえます。
代表的なサービス形態「購入型」「サービス利用型」
サブスクをユーザーの観点から見たとき、大きく分けて「購入型」「サービス利用型」の2種類が存在します。主な違いとしてはものを所有するかどうかという点です。
サブスクの事業モデル5種類
では次に事業モデルとしてサブスクを分解してみましょう。サブスクの事業モデルは下記の5種類に分けられます。
会員制モデル
- 形態
- サービス利用型
- 代表例
- 動画・音楽配信サービス
オンライン英語学習など
会員制モデルは定額料金を支払ってサービスの会員になることで、サービスを利用できるモデルです。動画・音楽配信といったサービスはこれにあたります。世間一般で最もイメージされるサブスクの事業モデルではないでしょうか。
『NETFLIX』や『Apple Music』などを始めとした、「料金を支払えば使い放題でサービスを受けられる」という点は会員ユーザーにとって非常に明快で、複雑な料金設定が忌避される昨今において支持されています。
インターネットを利用したサブスクサービスの多くが会員制モデルの形式を取っており、どの業界でも転用しやすいことも特徴です。初回1ヶ月間の料金を免除して新規ユーザー獲得を促進するケースもよく見られます。
定期購入型モデル
- 形態
- 購入型
- 代表例
- Amazon、楽天などの定期便購入
食材宅配サービスなど
定期購入型モデルはユーザーに特定の商品を販売する購入型のモデルです。取り扱っている商品はサプリメントやコンタクトレンズ、雑誌や新聞など日常的に使用する商品が多いです。
『Amazonの定期おトク便』では数万点の対象商品の中から商品を選択し、数量・配送頻度を選択して注文することが可能です。また、複数の商品をまとめて定期注文することで5~15%程度の割引が適用されます。
ユーザーにとっては定期的な購入の手間を省いて安く購入することができ、企業側としても商品の在庫消費や売上目標の設定が立てやすくなるので、両者にとってメリットが大きいモデルと言えます。
レコメンドモデル
- 形態
- 購入型・サービス利用型どちらもあり
- 代表例
- ファッションレンタル
ワインの定期お届けサービスなど
レコメンドモデルはユーザーの趣味嗜好や生活環境などに合わせて、専門家やAIからのおすすめ商品を提供するモデルです。食品やファッション、フィットネスなど好みが分かれやすいジャンルで利用されています。
例えば、ファッションレンタルサービスの『airCloset』では、ユーザーからの無料診断の結果をもとにプロのスタイリストがセレクトした洋服が自宅に届くサービスを展開しています。届いた品物には着こなしのアドバイスも入っているので「似合う服が分からない」「いつも同じ服装になる」といった方にはぴったりのサービスでしょう。
レコメンドモデルのサービスは複数回の利用を重ねていくことで、ユーザーの好みを蓄積し最適な商品を提案する精度が上がっていきます。精度が高ければ高いほどユーザーの信頼を獲得し、長期的な収益に繋げていくことが可能になります。
頒布会(はんぷかい)モデル
- 形態
- 購入型・サービス利用型どちらもあり
- 代表例
- 花の定期便
化粧品詰め合わせお届けサービスなど
頒布会モデルは、企業側で毎回異なる商材をセレクトして届けるモデルです。
レコメンドモデルに近いようにも思えますが、明確な違いはユーザー側から商品の選択が任せられており、選択権が企業側にあるという点です。化粧品や雑貨、食品といった多種類な商材、ユーザー側での選択が難しい商材などで利用されています。
例えば、花のサブスク『+hana(タスハナ)』では国産の様々な品種の花を自宅に届けるサービスを展開しています。商品は色や形が揃っていないものや、試作品種など美しく新鮮なものの行き場を失ってしまった花を活用しており、ユーザー側は「なにが届くかわからないワクワク感」を感じる事ができます。
企業側は商品の選択権を保持していることで在庫管理がしやすく、利益率を調整しながら運用することが可能となります。
オフライン連動モデル
- 形態
- 購入型・サービス利用型どちらもあり
- 代表例
- 定額制コーヒー飲み放題サービス
焼肉食べ放題サービスなど
最後はやや変わり種となりますが、オフライン連動モデルというものも存在します。
オフライン連動モデルはその名の通りオフライン=つまり店舗などのリアルな場所でサービスを受けられるモデルです。特にカフェやレストラン、居酒屋といった飲食店などでの活用が見られます。
牛丼チェーンすき家では、使用期間内であれば何度でも対象商品が70円引きとなる『Sukipass』を税込200円で販売しています。手軽な料金設定、3回で元が取れるお得感が人気となっています。
このように店舗でもチケットのような形でサブスク化が可能なことは非常に魅力的です。企業側はユーザーの来店回数を増やすことで長期的な利益に繋がりやすくしています。
サブスクサービスのはじめ方
サブスクサービスを事業展開する際には、実際にどのような準備が必要なのでしょうか。ここでは主な手順3つをご紹介します。
ターゲットとサービスを決定する
まずはサービスの内容と、サービス価値を届けるターゲットを設定していきましょう。
ターゲットを決めてからサービスを決定するケース、もしくはサービスを決めてからターゲットを探すケースどちらもありますが、後者は基本的にすでに自社サービスが完成してから行う事が多いため前者がおすすめです。
多くのユーザーに支持されるサービスを生み出すには、ターゲットのニーズとサービスの合致性が非常に重要となります。そのためターゲットの洗い出しは綿密に行いましょう。
ターゲット設定は性別や職業、生活環境、趣味嗜好などをもとにペルソナと呼ばれる具体的な人物像を描いておくとサービス内容がブレにくくなります。ペルソナがどんなことに不満を感じているか、どんな生活を送っているかを洗い出し、サービスを具現化していきましょう。
ペルソナの設定方法については下記のコラムでご紹介しています。ぜひご覧ください。
収益化のフローを設計する
次にサービスをどのように収益化するかのフローを制定します。ターゲットがお金を払っても利用したい価値があるかということを念頭にフローを設計しましょう。
冒頭でも紹介したように、サブスクは申込み・解約のハードルが低い事が特徴のため、その強みを生かした施策でユーザーの参入障壁を下げることも有効です。具体的には下記の方法が挙げられます。
- 初回◯ヶ月の料金無料
- 初回利用◯%OFFのクーポンを配布
- 実際に届く商品のサンプルを配布する
ただし、初回獲得したユーザーがその後離れてしまっては意味がないので、あくまで本商品への切り替えを目的とし、収益性を阻害しない範囲でプランニングを行いましょう。
より精度の高い収益フロー設計のためには、ターゲット層に対して事前にアンケートや現地調査などを行うこともよいでしょう。実際のリアルな声を捉えることで正確なデータを得られます。
システムを構築する
収益化のフローが固まったら、リリースに向けてシステムの構築、具現化を進めていきます。
実際にシステムを構築する場合、システムとしては(商品管理、顧客管理、請求管理、決済処理)などの機能が必要です。システム構築する方法は大きく分けて下記の2つです。
基本的には前述したオフライン連動モデルのような店舗型のサービスでない限り、アプリやWEB上でのサービス提供がメインになるため、サービスに付随するものは全てネット上で完結する必要があります。
とはいえ、自社開発は時間や人手、コストなど様々な要素が必要となり、難易度が高くなります。社内にノウハウや人材が足りていない場合は外部システムに委託し、アウトソーシング化を進めていきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本コラムではサブスクリプション(サブスク)の種類と棲み分けについて紹介させていただきました。
サブスクは様々な業界で活用できるビジネスモデルであり、中小企業やスタートアップ企業も大きく飛躍できる可能性があります。
そのためにはあらかじめ成功のポイントや事例を把握しておくことが重要です。
以下のコラムでは成功事例や見るべき指標なども交えて具体的に紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。