
SNS時代だからこそ知っておきたい!
ULSSASについて
- 2023/01/19
ICT総研の調査によれば、2020年時点でその利用率はおよそ80%以上とされ、今後も伸び続けていくことが予測されています。
ULSSASとは?
ULSSASとは?
ULSSASとは、ソーシャルメディアによるマーケティング支援を行う株式会社ホットリンクが提唱している<SNS時代の新しい購買行動モデル>です。以下の6つの要素で構成され、それぞれの頭文字をとり名前がつけられています。
- UGC(ユーザー投稿コンテンツ)
- Like(いいね、お気に入り)
- Search1(SNS検索)
- Search2(Google/Yahoo!検索)
- Action(購買行動)
- Spread(拡散)
テレビCMやWEB広告ではなく、第三者の投稿が起点となっておりSNS内におけるユーザー同士のコミュニケーションを経てActionへ向かっていきます。また、自分の購入したものをさらに第三者に向けて拡散するという部分が大きな特徴と言えます。
既存のフレームワークマーケティングとの違い
これまでのマーケティングフレームワークと異なる部分についても理解しておきましょう。例えば代表的なAIDMA(アイドマ)やAISAS(アイサス)などは、下記の図のようにファネル型(逆三角形)になっていることがほとんどでした。
認知から行動に進むにつれ上から下に落ちていくイメージで、その人数の割合も少なくなっていきます。そのため、企業はActionの母数を増やすために広告費を投下し、その認知率(Attention)をあげる努力をしてきました。
一方ULSSASはフライホイール型(弾み車)で、発生したUGCが拡散されれば、認知から拡散までのサイクルが自然に回り続ける構造となっています。
また、気になった情報について一度SNS内での検索をはさむところも特徴的です。ではどんな工程を踏んで実際に購買に至るのか、具体的に見ていきましょう。
- ユーザーによって投稿された口コミやレビュー、商品の画像や感想など(=UGC)を見た別のユーザーが、いいね・シェアなど行動を起こします。(=Like)
↓ - 人からリアクション(=Like)を得た投稿は拡散力を増し、さらに多くの人の目に留まりやすくなります。
↓ - その投稿を見て商品が気になったユーザーは、ハッシュタグ(#)を辿って公式アカウントを見つけたり、また別の人の投稿を見たりとSNS内を回遊し商品のことを調べようとします。(=Search1)
↓ - SNSで一通りの評判などを見たのち、多くのユーザーはGoogleやYahoo!でさらに情報を求め検索します。公式サイトを見る・その商品が買える最寄りの店舗を探すなど理由は様々です。(=Search2)
↓ - 十分に情報を得たユーザーは、サイト内で会計、または実際に店舗に足を運び購入・サービスの契約に至ります。(=Action)
↓ - そして実際に商品を手に取った、またはサービスを利用したユーザーがその感想やレビューをSNSに投稿することで、また新たなUGCが生まれさらに拡散されていきます。(=Spread)
↓ - この投稿がまた新たなUGCとなり、一連のサイクルが連続することでULSSASが成立します。
なぜULSSASが重要か、そのメリットについて
ここまで、ULSSASの構造についてご紹介しました。これまでのフレームワークとはまた違う行動パターンになっていることがお分かりいただけたかと思います。
では、自社の商品が購入、そして拡散される上で、なぜULSSASを重視する必要があるかを本章でご紹介します。
購買行動の変化
コロナ禍を経て、ネットショッピングをする機会が以前より増えたという人も多いのではないでしょうか。
もちろん以前よりインターネットを利用し買い物をする人の割合は年々増え続けていますが、コロナ禍において店舗で直接購入する機会が減ったことは、ネットショッピングの利用者を増加させる大きな要因の一つとなっています。

出典元:総務省「家計消費状況調査」
そして商品を目で見て確認ができない分、その口コミやレビューは、購入を検討するうえで重要な要素となります。以前までは口コミ・比較検討サイトでしか得られなかった情報が、今ではSNSを使うことで簡単に手に入るようになりました。
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社が発表したSNSのクチコミに関する調査データでは、何かを購入する際に最も影響を受ける情報として<たまたま見つけたSNS投稿>があげられています。
この<たまたま見つけたSNS投稿>こそが次にご紹介するUGCであり、ULSSASのスタート地点となるのです。
UGCの活発化
UGC(User Generated Contents)とは何か特別なコンテンツというより、「誰かに知ってほしい・教えたい」といった第三者視点からの情報提供のことを言います。
具体的には「このサイトを使って買い物をしたらお得なクーポンがついてきた」「旅行でここに行ったら、このお店に立ち寄るべき!」というような内容ですが、こういった何気ない発信が別の誰かにとっては信頼性のある有力な情報となります。情報を見た人は思わず「いいね!」とリアクションを送り、それによって情報はさらに拡散力を上げていきます。
また同時にSNSでは「使ってみたけどイマイチだった」「このお店はリピートないかも」といったネガティブな意見を目にすることも簡単にできますが、これもまたUGCの一種となります。
このように、良くも悪くも正直な感想は、人々の関心と信頼を集め「いいね」や「リツイート」が繰り返されることがパワーとなりどんどん拡散されるようになります。
企業側には、このUGCを最大限マーケティング活動に活かすことで、まだ見ぬ潜在層にも商品価値を伝えられるチャンスが生まれます。ユーザーがSNS内を検索し公式アカウントを見つけたり、Googleなどの検索結果から自社サイトに訪れることも大いにあり得ます。
このように企業は広告費をかけずとも、UGCをきっかけに検索して訪れたユーザーとのタッチポイントを築ける可能性があるのです。UGCについては、下記の記事にてより詳しく解説していますので、気になった方はこちらも是非ご一読ください。
個人でUGCを生むため自社商品の声を集めやすい
UGCはユーザーが行う自由な発信なので、消費者目線のリアルな声を集めることができます。また、自分のフォロワーであったり身近な人たちに伝えようとしているため親近感もあります。
もちろんいい評価ばかりではなく、中には耳が痛くなる投稿も存在するかもしれませんが、企業側はそれらもリアルな声として受け取り、開発や商品の見直しに労力を割くことが可能となります。
意図しないかたちで情報が出てくることもあり得るので、企業からも定期的な情報発信やブランドイメージを定着させるような世界観をアカウント内で形成していくことが大切です。
ここまでをまとめると、企業がULSSASを活用する重要性は下記の三点となります。
- 購買行動が変化したことで人々が口コミ(UGC)を意識するようになったこと
- そこからスタートして検索するユーザーとつながりを持てること
- UGCからはユーザー視点の正直な感想を集められること
ULSSAS活用の際のポイント
ここまで述べてきたように、ULSSASはあくまでユーザーが起点となって始まるフレームワークです。では最後に企業がULSSASを活用しより一層ファンを増やすためのポイントと、反対に注意すべき点についてをご紹介します。
購入者が投稿しやすい企画
UGCを生み出すために闇雲に施策を行っても、あまり効果がありません。ユーザーの気持ちを「これはみんなにも拡散したい!」と高ぶらせる要素が必要となります。
例えば、ハッシュタグを用いたキャンペーンなどは「ハッシュタグ検索」というSNSの特徴を活かしたうえで展開されることの多い施策です。
ただし、ハッシュタグの中身が瞬時に理解できる内容であったり、ユーザーが投稿しやすいよう企画の参加ハードルは低く設定することが重要となります。
ここでハッシュタグを活用した成功事例を1点ご紹介します。
- pokkasapporo
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#わたしのポッカレモン 夏の投稿キャンペーン
https://pokkasapporo.ownly.jp/story/15462
ポッカレモン100を使用して作られた料理やドリンクなどの写真を撮影し、「@pokkasapporo」「#わたしのポッカレモン」の2点がついた投稿をした方の中から抽選でレモン商品詰め合わせをプレゼントするという内容です。
このキャンペーンでは、ポッカレモンがターゲットとしている「料理好きな方」によるポッカレモンを活用したレシピなどの投稿が多く見られます。さらに応募者でない方のタイムラインにも紹介されることでさらなる販売効果を見込める施策になっています。
もう一つ、このキャンペーンが成功した背景として、公式アカウントでは日頃からポッカレモンを活用したレシピが数多く投稿されており、ユーザーが「私のレシピも紹介したい!」と感じたポイントになっていると考えられます。
参加者が集まるプラットフォームを選別
施策を検討する際、どのSNSと相性が良いかという見極めが必要になります。例えば、いわゆる「映え」を意識した画像や動画の投稿を促すのであればInstagram、コミカルなダンスなどを集めたい場合はTikTok、文章が主体になる投稿を対象とする際はTwitterなどと考えられます。
同時に、自社のファンになってくれそうな人たちはどこにいるのかも考える必要があります。商品やサービスのターゲット層を今一度振り返り、それぞれのSNSの特徴を理解した上で施策を展開していくことを意識しましょう。
またプラットフォームによっては、自社アカウントのフォロワーやリアクションをくれたユーザーについて把握することも可能なので、自社アカウント運用も併せて進行することをおすすめします。
ユーザーに正しく情報を届けるには?
そして特に気を付けるべき点は、企業が何か発信する際にUGCとの乖離を生まないよう情報を精査することです。
ULSSASは、個人の投稿が起源となるゆえに誤った情報が拡散されてしまうというリスクも考えられます。このような事態は、受け取り手によって複数の解釈が生じる表現が使われていることや、発信する情報量の少なさが起因していると言えます。
こういった事態を避けるためにも、企業は「誰に」「何を」伝えたいのかを明確にし、ユーザーの支持が集まるよう正確に伝えることが極めて重要です。
ULSSASは(企業からの正確な情報発信→UGCの創出→新規ユーザーの参加)というサイクルが確立されることで成功に近付く設計になっていると言えます。ユーザーがどんな情報を求めているか、またどんな投稿に支持が集まっているかを気にかけ、それを元に自社で発信を行っていくこともULSSASを成功させるためのポイントです。