
【広告主向け】アフィリエイト広告における費用対効果とは?
- 2022/11/07
- 2023/10/10
あなたはアフィリエイト広告の利益の仕組みをご存知でしょうか?
一般的にアフィリエイト広告は成果報酬型のWEB広告として知られていますが、実際に運用時にかかる費用やどのように損益が推移していくのかはあまり知られていないかもしれません。
このコラムではアフィリエイト広告を導入検討しているEC担当の方に向けて、
・アフィリエイト広告における費用対効果
・アフィリエイト広告の損益分岐点
・利益の調整方法
をわかりやすく解説していきます。
広告出稿にあたり複数のWEB広告を検討している場合などの参考として、ぜひご覧ください。
アフィリエイト広告の基本情報と費用の仕組み
アフィリエイト広告とは
まずアフィリエイト広告の収益の流れをおさらいしましょう。
アフィリエイト広告とは、WEB広告と言われるプロモーション方法の1種です。
収益の仕組みとしては、メディア(=媒体、アフィリエイター)が作成したブログや比較サイト、SNSなどに掲載されている広告をクリックしたのち、広告主サイトのサービス・商品に対し申込み・購入といった特定のアクションを行うことで成果が発生します。広告主はその成果に応じてASP経由でメディアに報酬を支払う流れとなっています。
アフィリエイト広告は、掲載やクリックのみでは広告費が発生しないため「成果報酬型広告」と呼ばれています。広告主は無駄な広告費を抑えることで、少ないリスクで始めることが出来ます。そのため知名度の高い大手企業のサービスから、リリースして間もない新サービスまで、幅広い広告主にとって導入しやすい広告といえます。
またメディアとしてはアフィリエイト広告のプラットフォームであるASPに無料登録したのち、自身のWEBサイトやSNSに広告素材を掲載する形式となるため気軽に始めやすい点も特徴です。
アフィリエイト広告の費用の仕組み
アフィリエイト広告は他のWEB広告よりも費用対効果が高いと言われていますが、アフィリエイト広告運用にあたって広告主側で負担する費用は変動費と固定費の2つがあります。
具体的な内容は以下となっています。
変動費
- 成果報酬額 + ASP手数料(コミッション)
-
-
成果報酬額
広告主側で自由に設定可能 -
ASP手数料
成果報酬額の税抜30%前後
※ASP各社で異なる場合あり
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成果報酬額
変動費は「成果報酬額+ASPの手数料」にあたります。
変動費は掲載メディアから発生した成果のうち、広告主が正当な成果として承認したものに対し1注文(=成果)ごとに適用されます。そのため成果数に応じて費用が変動します。
成果報酬額は、広告主側で自由に設定することができ、運用中に金額変更することも可能です。成果報酬は定額型・定率型の2種類があり、どちらを使用するかは取り扱う製品やサービスに応じて様々です。
-
定額型
ユーザーの購入金額に関わらず一定の成果報酬金額が適用される
新規申し込み10,000円、新規会員登録2,000円など -
定率型
ユーザーの購入金額に対して◯%という形で料率が適用される
新規購入5%など
固定費
先ほどの変動費の他に、基本的にASPではプラットフォーム利用料として初期費用・月額費用が必要となります。申込みの初月費用の例は以下です。
- 初期費用+月額利用料
-
-
初期費用
税抜50,000円 -
月額利用料
税抜40,000円
※ASP各社で異なる場合あり
-
初期費用
概ね初期費用は50,000円前後、月額利用料は40,000円前後としているASPが多いですが、上記の固定費が不要な「完全成果報酬型」と呼ばれるASPも一部存在します。
各社ASPの費用は下記コラムでも紹介しています。ぜひ合わせてご覧ください。
ASPの利用に固定費がかかる理由
ASPの料金体系は、大きく分けて有料ASPと無料ASPの2種類に分けられます。
-
有料ASP
変動費+固定費で運用可能なASP -
無料ASP
変動費のみで運用可能なASP
現在国内のASPは大小含め100社以上あると言われていますが、上場企業などが運営する大手ASPの多くが有料ASPとなっています。
では有料ASPの利用において、無料ASPとはどのような優位性があるのでしょうか。
この章では有料ASPの特徴をご紹介していきます。
マッチングできるメディア数が多い
実は日本で最初にASPがサービスを開始したのは1999年となっており、アフィリエイト広告はWEB広告の中でも歴史が長い手法です。
主要な有料ASPの多くはこの1999年〜2005年前後にサービスを開始したものとなっており、その歴史に付随して数十万〜数百万規模のメディア数を抱えています。広告主にとって登録メディア数の多さは下記のようなメリットが考えられます。
- 自社商品に合致した掲載先が見つかりやすい
- アクティブな掲載先が見つかりやすく、メディア掲載や施策実施による恩恵が大きい
- 自社商品をメディアに認知されやすい
- ASPとしてメディアからの認知度が高く、プログラムを探す際にまず訪れてくれる
- 有力メディアとの繋がりが強い
- 有力メディアとの長年のパイプがあり、掲載調整が進みやすい
- 運用ノウハウが豊富
- 運用年数が長く、多くの導入企業実績があるため様々な掲載提案を受けやすい
ASPによっては特定のジャンルに特化してメディア数を多く抱えている場合もあるため、出稿検討の際は自社商品と登録メディア傾向との相性を確認しておくとよいでしょう。
また有料ASPではメディア数の強みを活かし、セミナーを始めとした各種イベントを開催していることも特徴です。実際にメディアに自社商品のコンセプトやこだわりを直接伝えられるほか、メディア側からの反応や疑問点を受け取ることもできるので両者にとって大きいメリットとなります。
A8.netでは、広告主とメディアのマッチングの大きな要素としてA8フェスティバルというイベントを開催しています。A8フェスティバルはA8.netに登録頂いた広告主とメディア会員が集まり、アフィリエイトに関する情報収集や広告主の製品・サービスとの出会いを楽しめる日本最大級のアフィリエイトイベントです。
A8フェスティバルに関する特設ページは下記よりご覧いただけます。
A8フェスティバル特設サイトはこちら
※2022年度の開催は終了しております。
システム提供による集客サポートが手厚い
次にシステム面での機能提供が固定費の理由として挙げられます。
主な要素として「レポート機能」「トラッキング機能」をピックアップして紹介します。
レポート機能の提供
広告主がASPを選択するにあたって、ASP各社のメディア数は大きな判断基準の1つですが、ここであえてメディア側の目線に立ってみましょう。
引用元:NPO法人アフィリエイトマーケティング協会「アフィリエイト・プログラムに関する意識調査2022年」(参照 2022-09-10)
NPO法人アフィリエイトマーケティング協会が実施している「アフィリエイト・プログラムに関する意識調査2022年」のレポートによれば、メディアがASPに求めるものについての項目では「稼ぎやすい広告や、自分にとって稼げる広告が多い」ことや、成果承認率の次に下記の要素が上位に上がっています。
- 管理画面が使いやすい
- 広告リンクの作成のし易さ
つまりメディアはASPに対し、「稼げるかどうか」の次に「ASPの使い勝手」というハード面の要素を求めているのです。なぜならASPの管理画面から得られる情報が多ければ多いほど、自身のサイト運営において伸ばすべき要素や修正点に気付くきっかけになるからです。
メディア満足度の高いASP各社は、いずれも管理画面の使用感に関して高い支持を集めています。ASPはより見やすいレポートやプログラムの検索機能などを提供することで多くのメディアの利用を促し、その収益化を後押しすることで広告主の集客を支援しています。
もちろんメディア側のみならず、広告主側の管理画面にもレポート機能を取り揃えています。広告主管理画面では月単位、日単位はもちろん、メディアごと広告素材ごとなど様々な抽出方法で成果状況を確認することができます。こちらもメディア管理画面同様に得られる情報が多いほど、注力する施策を判断する指針となります。
広告のクリック数や申込み数など、明確なデータを分析に活かせることがアフィリエイト広告の強みです。ASPを選ぶ際は管理画面でどのような情報を抽出できるのかも確認しておくと自社に合ったASPが見つけやすくなるはずです。
トラッキング機能の提供
現在WEB広告業界では、Apple社のWEBブラウザ「Safari」におけるトラッキング制御機能(ITP)をはじめ、3rd Party Cookieを使用した広告計測に対し規制が進みつつあります。これらの理由としてはユーザーのプライバシー保護の観点が大きく影響しています。
アフィリエイト広告は成果報酬型のため、広告が正しく計測できなければメディアと広告主間の公平性が欠けてしまう可能性があります。ITP非対応の広告主のプログラムは自サイトに掲載しない、というメディアも珍しくありません。
各社ASPはユーザーのプライバシーを保護しつつ広告計測を行うため、ITP対策をはじめとした成果計測(=トラッキング)技術向上へ開発・研究を重ねています。
正確な成果計測を行うためには、ASPがデベロッパーの規制方針に対し柔軟かつ迅速に対応することが必要となりますが、対策のスピード感や対応方針はASPによって異なります。多くの有料ASPはこうしたトラッキング対策が進んでいる傾向にあります。
メディアと広告主との間に立つASP各社はプラットフォームとしての価値を提供できるよう、しのぎを削っています。
アフィリエイト広告の損益分岐点とは
アフィリエイト広告の損益分岐点
では先ほど紹介した固定費・変動費の内容を踏まえ、アフィリエイト広告の損益分岐点を考えていきましょう。
まずは固定費と変動費との合算で1件あたりの獲得費用を算出します。
-
初期費用
税抜50,000円 -
月額利用料
税抜40,000円 -
ASP手数料
成果報酬額の30%
例えば、ASPへ支払う費用を上記の条件で仮定し、成果報酬が1件税抜1,000円のプログラムで1ヶ月で10件の獲得があった場合、1件あたりの獲得費用は下記のようになります。
ここでさらに月50件、100件、1,000件、10,000件の場合を見ていきましょう。
月10件獲得の場合、1件あたりの獲得費用は5,300円となるのに対し、50件発生の場合は2,100円、100件発生の場合は1,000円台まで獲得費用が下がっていきます。1,300円台に入ると獲得費用は概ね下げ止まっています。上記の図を見ると、特に10件〜100件前後の獲得範囲において、獲得費用の下げ幅が大きいことがわかります。
次に成果報酬について注目していきましょう。
アフィリエイト広告では、広告主がメディアに支払う成果報酬を自由に設定することができます。基本的な成果報酬の決め方は以下となっています。
- 成果報酬の決め方(例:定額商品の場合)
-
【1件あたりの成果報酬】=【売上単価】-【商品原価・人件費など】-【利益】
※上記はあくまで一例です。企業により異なる場合があります。
また成果報酬を設定する際はユーザーの一回あたりでの申込みではなく、アフィリエイト広告における広告予算の組み方、成果報酬の設計に関してはLTV(Life Time Value)の指標を参考にするのがおすすめです。LTVは顧客生涯価値のことを指し、1人あたりの顧客が取引を開始してから終了するまで、企業にどの程度の利益をもたらすかを表す指標です。
獲得費用の推移は、商品の認知度や獲得数、成果報酬の設定によっても企業ごとに変わっていきますが、まずは1件あたりの獲得費用を設定し、何件獲得することで初期費用を回収できるのかを考え、損益分岐点を設定していきましょう。
出稿期間の長い広告主ほど獲得費用は下がりやすい
アフィリエイト広告は中長期的なWEB広告手段です。
アフィリエイト広告に出稿してすぐ成果が出るというよりは、徐々に掲載メディアを増やしていくことで獲得件数を伸ばしメディアを育てていくイメージを想定しておくとよいでしょう。
- メディアを育てるステップ
-
提携メディアを増やす
プログラムの存在を認知してもらう
↓
掲載メディアを増やす
商品を試してもらう、サービスを体験してもらう
↓
獲得メディアを増やす
メディアと掲載交渉をする
↓
獲得メディアの売上を伸ばす
メディアに掲載強化してもらう
そのため出稿期間が長い広告主ほど獲得件数が多く、1件あたりの獲得費用は下がりやすい傾向があります。メディアが自身のサイトやブログに広告を掲載し、成果発生するまではややタイムラグがあるため、まず稼働後1~3ヶ月は種まきの期間として提携メディアの数を増やすことを優先して取り組んでいきましょう。
アフィリエイト広告の利益を調整する上でのポイント
前章ではアフィリエイト広告が獲得件数の増加によって獲得費用が押さえられていくモデルだという事がわかりました。
ではどのようにして利益を調整していくことができるのでしょうか。本章では4つのポイントで紹介していきます。
獲得件数を増やす
まず最も一般的な方法はメディアからの獲得件数を増やすことです。
獲得件数を増やす方法は主に下記の2パターンとなります。
-
新規掲載
広告主の商品やサービスを未掲載のメディアに対し、新たに紹介してもらう -
掲載強化
すでに掲載済のメディアに対し、より集客が見込める記事やPR枠などに掲載してもらう
獲得件数を伸ばすためには多くのメディアに掲載してもらうか、有力なメディアに絞って掲載する必要があります。
もし掲載メディアが少ないのであれば新規掲載を実施、掲載メディアは多いが獲得に繋がっていない場合は掲載強化を実施、というような形でそれぞれプログラムの状況に応じて施策を選択していきましょう。
また上記の施策を実施する際、場合によっては特別報酬(一部メディアの成果報酬を引き上げること。特別単価とも言われる)や商品提供などメディアへの何らかのフックがあると掲載が進みやすくなる可能性があります。
成果報酬を引き上げて獲得費用が変わらないのでは意味がなくなってしまうので、ASP担当と相談して掲載するメディアを選定したり、メディアの想定件数をヒアリングするなど、十分に検討して実施しましょう。
クリエイティブを見直す
メディアのサイトからLPまでは集客できていても、申込みに到達していない場合はLPのクリエイティブを修正する必要があるかもしれません。
下記の項目は最低限のポイントとして確認しておきましょう。
- ファーストビュー(ひと目に入る範囲)に伝えたい情報が入っているか
- 申込み導線が分かりやすい位置に設置されているか
- 料金体系が明確になっているか
- 素材の画質が荒くなっていたり、潰れていたりしないか
ASPによっては、訴求別に複数LPを用意してメディアに使い分けてもらうといったことも可能です。商品の訴求ポイントがいくつかある場合や、LPのABテストを実施したい場合などに活用してみましょう。
契約プランを見直す
一部ASPでは、長期契約を結ぶことで固定費が割引価格となるケースがあります。
固定費が抑えられれば、その分損益分岐点を低く設定できたり、メディアへの強化費用に回すといったこともよいでしょう。すでにアフィリエイト広告の運用経験があり獲得が見込める場合や、毎月ある程度安定的に獲得している場合など、契約更新のタイミングで長期契約のプランに切り替えることでより運用の幅が広がるはずです。
成果報酬を見直す
支出コストを下げて利益率を高める、という点ではメディアの成果報酬金額を下げることも有効です。獲得メディアが多いほど効果は大きくなるでしょう。
ただし、成果報酬を下げることはメディアの収益にも直結するため十分注意が必要です。
場合によっては成果報酬を下げたことで競合他社のプログラムが優位になり、掲載面が少なくなってしまう可能性もあります。有力メディアの報酬は据え置きにしたり、他社の相場感を確認するなど、慎重に検討して判断しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
本コラムでは、アフィリエイト広告の費用対効果、損益分岐点などを主に紹介させていただきました。
広告出稿する上で、利益の仕組みや継続的な運用までのプロセスは非常に重要です。
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